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3日目のこと・3 ~カフェ・フローリアン~ [はじめてのイタリア~ひとりでぇできたぁ~]

 わたしがイタリアまでやってきたそもそもの理由は、まず第一にローマで『ベアトリーチェ・チェンチ』に逢うこと

 第二の理由。
 昨年、パリで数々の名作美術品を目にしたとき。
 それで芸術熱が燃え上がったというほどではないけども、
 「これで満足してはいけないのではないか」
 と。
 これでは野球の試合を9回裏だけみて、結果を知るだけで納得してしまっているようなものだ(喩えが悪いか)。
 いまある西洋美術の、その大元となったルネサンス芸術発祥の地・フィレンツェの空気に触れてこそ、『モナ・リザ』をこの目にした意義がより大きいものになるに違いない。

 というわけで、第二の理由はフィレンツェへ行くことであった。

 次にヨーロッパにいくならイタリア、そのなかでもローマ、フィレンツェだけでいいと決めていた。毒をくらわば皿まで。もうとことん芸術ツアーだと。
 そんなこんなで、独特の街並みがあるというだけで、これといって目玉になるような美術品があるわけではないヴェネツィアなんぞになんの興味もなかったのだが・・・、

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 みちゃったんだな。
 作中、悪人が誰ひとり出てこない“ネオ・ヴェネツィア”に、わたしはユートピアをみてしまった。

 いやまぁ、そこはイタリアの観光地である。“ネオ”ではない現実のヴェネツィアでは当然スリが横行しているだろうし、すべてのひとが親切で、諍いもなく穏やかに暮らしているなんてこと、あるはずがない。
 しかし、作者がユートピアとして描いてしまうほどの魅力がきっとヴェネツィアにあるのだろうとわたしは信じ、いつのまにか、イタリア旅行のなかになんの興味もなかったはずのヴェネツィア行きを組み込んでいた。

 さて、前置きが長くなったが、カフェ・フローリアンである。

 『ARIA』に、そのまんまカフェ・フローリアンが出てくるのだ。
 ヴェネツィアに興味のなかったわたしは、もちろん『ARIA』をみるまでその存在を知らなかったし、それが実在するカフェだということを知るのもしばらくたってから。
 作中語られる「ここはカフェ・ラテ発祥の地」だということが、それが真実なのかは置いておくとして、実際に伝えられている話だということを知るのも、

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 いつ、どうして知ったのかはまぁいいとして、かんじんなのはサン・マルコ広場に店をかまえたのが1720年という、とにかく歴史と伝統のあるカフェだということ、そしてなにより“カフェ・ラテ発祥の地”であるらしいということ。
 コーヒー好きのくせに苦いものが苦手でブラックコーヒーが飲めないというわたしの最愛飲料はコーヒー牛乳。その大元、カフェ・ラテが生まれたといわれるこの地は、わたしにとってはまさに聖地である。
 ヴェネツィアまできて聖地巡礼せず帰るなんて背徳的な行為は決して許されないであろう。

 が、豪華な店構えと、外からうかがえるきらびやかな内装にかなりびびってしまい、入り口の前でドアにかける手を引っ込めて躊躇する。なにしろ昨夜はこんなのをみてしまっているのだ。

 それでも、いま店内でくつろいでいるのは皆ラフな格好をした観光客ばかりということを確認し、なんとか心を落ち着ける。

 そうだ。しょせんはたんなるカフェだ。
 勇気を出してドアを開ける。

 待ち構えていた店員に、びびった内心をごまかすように、
 「ぼんじょ~るの!」
 と、大きな声であいさつ。

 「ひとりか? どうぞお好きな席へ」
 みたいなことを英語で案内され、広場の観光客の視線にさらされない、奥の席に座る。

 すぐにやってきた別の店員が、
 「コンニチワ~」
 と日本語で陽気に話しかけながらメニューを渡してくれる。

 いやまぁ、注文するものは決まってるのだが、すぐにまた店員を呼び止めるのは“いかにも”って感じで恥ずかしいので、しばらくメニューを眺め、選んでいる振りをしてから、ようやく店員を呼び、

 「かふぇらて、うの」

 と注文。

 すると注文をきいた店員は、なにやら陽気に鼻歌を唄いながら去っていくではないか。
 ウソのようにできすぎた典型的イタリア人の姿に、かしこまっていたわたしの心もなごむ。

 そうだ。ここカフェ・フローリアンも、どんなに歴史と伝統があろうと、しょせんカフェはカフェなのだ。

 でてきたカフェ・ラテはいかにも豪華そうで、価格も8.2ユーロと、たんなるカフェにしてはかなり高いが、それでもやっぱり只のイタリアのカフェ。じっさい飲んでみても、もちろん美味いことは美味いのだが、格別の味がするというわけではない。なにもそんなにびびる必要はなかったわけだ。

 コーヒーとミルクの割合をかえていろんな味を試してみたり、地図をながめて次はどのあたりを歩いてみようかと考えたりしながら、時間は正午。最初はさんざんびびりながらも、なんだかんだですっかりくつろいでしまった。

 歴史と伝統の重み。
 その“重み”がイタリア人らしい陽気な軽やかさで打ち消され、客は歴史と伝統があるという雰囲気を気軽に味わうことができる。カフェ・フローリアンはそんなステキな空間だった。


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コメント 2

NEPOJA

初めまして、こんにちは。
カフェ・フローリアンつながりでトラックバックさせていただきました。
カフェ・ラッテ8.2ユーロもするんですね…
by NEPOJA (2010-02-08 03:19) 

homerun

 初めまして。
 そう、高いんですよ。観光地価格ですね。まぁ、単純なコーヒーだけの価格ではないということで。店の雰囲気も含めたら、決して高いとは思いませんでした。
by homerun (2010-02-08 20:20) 

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