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ナイショの話 [きょうの敬遠]

 北海道から帰ってきて間もない2月21日。ついにこの日がやってきた。

 旅の本質とはなにか。
 それを、“日常から離れ非日常を味わい、未知の世界を経験する”と定義してしまえば、もうこれも“旅”といってしまっていいのではないか。

 そう、まだ旅は終わってなかった――

 って、まぁ、痔の手術なんだけども。

 人生で初めて身体にメスを入れることになるわけだが、手術自体に対する不安はほとんどなかった。むしろ、これから未知なる世界を体験できるという好奇心が優っていたぐらいで。
 それよりも、不安は手術前後のこと。 
 まずは術後の痛みや生活の不便が、不安というより、まぁとにかくめんどくさい。仕事はまるまる一週間の有給休暇をもらえたからいいとしても。
 術前は、しっかり排便しておくべく座薬を渡されていたのだが、じつは座薬も人生初。肛門からの異物挿入は前回の検査時にいろいろぶち込まれて経験済みだが、自らなにかを挿入するとなると、これがまたわたしも気が小さいものだから、かなり躊躇してしまう。いっそ誰かにやってもらった方が気が楽だ。
 ま、齢30半ばにして親に頼むのもなんだし、自分でやったけども。
 若干の痛みをおぼえつつ、それでも強引に押し込んだら、ニュルンと入っていきました。

 で、手術本番。
 まずは麻酔注射をするための麻酔シールを肛門付近に貼り、しばらくしてから、下半身裸にタオルを巻いて手術台へ。
 言われるがままにうつ伏せに寝ると、逆リクライニングとでもいうのか、台は腹の部分で軽く“く”の字に折れ、こちらも楽な姿勢のまま尻を突き出す形になった。なるほど便利なものだ。
 さらに手早く血圧計と、なにやらの血中濃度を測る機械を装着され、点滴針を挿入。そして「頭がぼーっとするクスリを点滴にいれますよ」と言われる。
 一瞬“おいおいずいぶんと危険な匂いのするものじゃあなイカ”と思ったが、ま、軽い麻酔薬なのだろう。

 まもなく本麻酔注射が刺されたようなのだが、予備麻酔が効いていて、“どうやら注射された”ということしかわからない。
 あとは半分寝ているような状態のまま、時間経過と痛みは感じず、ひたすら肛門をグリグリされている圧迫感だけが続き、おそらく30分強で手術は完了した――けっきょくこの手術でいちばん痛かったのは、肛門を開くためと思われるベタベタと貼られたテープを剥がすことだった。なにしろケツ毛びっしりなもんで。

 後、30分ほど休憩して、執刀医と面談。
 肛門から脱出していた痔核だけでなく、他にも内痔核がふたつあったため、計3箇所切った、と。で、その切った痔核を見せられ、「ホルマリン漬けにして持って帰ってもいいですよ」と。
 おぉそれはぜひ頂きたいと思ったが、そんなもん置き場所に困るだけとすぐに思い直し、お断りした。
 そのかわり、術前、術後の肛門画像のプリントをもらった。
 ここで晒すことはやぶさかでないのだが、やはりかなりのグロさなので控えておく。

 さて。
 麻酔が効いていたのと、うつ伏せだったのとで、どれだけ壮絶なことがなされていたのかわからず、なんならこの手術に物足りなさすらおぼえたのだが、本当の闘いはここからであった。

 とうぜんの話である。
 麻酔が切れたら、まぁ痛い。
 3箇所も切って縫ってるのだ。
 とうぜんの話である。

 術日当日にこのブログを更新しておきたかったが、それもままならず。
 痛み止めもたいして効かず、唸り続けて朝方。ようやく痛みが落ち着いてきたところで眠りに落ちたのも束の間、便意をもよおし、トイレで恐る恐るひってみたら、とうぜんの激痛。しかし、しっかり便が出たことでなんとなく気分も身体もすっきりして、さらにその後に塗った軟膏も効いたようで、痛みは大きく減退した。
 そして本日、昼に起床すると、さらに痛みはひいていて、立ち上がる時など、ふんばって肛門に力が入ったり閉じたりする時のみに激痛が走るのみになった。

 というわけで、手術翌日にして自転車で通院したのは、ここだけの話。
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