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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017 [感想文]

 競馬行って、美術展行って、チャリでイースタン戦行って、で――

ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2017「ラ・ダンス 舞曲の祭典」


 目眩をおこしそうなこの文化の振り幅に、平和と贅沢を噛み締めて。
 あぁ、ありがたや。
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 まずは公演番号133
 コダーイなんて聴いたことないからいっちょ試しに、と、とくに深く考えもせずチケットを買ってしまったのだが、いや、堀正文って見覚えある名前だな、と。
 で、行ってみたら、見覚えある顔だな、と。

 ん? あ?

 N響のコンマスさんじゃありませんか。こりゃまた失礼しました。ファンでチケットを買えなかった方がいたら申し訳ありません。
 で、さらに申し訳ないことに、これがまたコダーイの2曲も思いのほか良くて。今まで知らなくてごめんなさい。

 次。公演番号114。『ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン』ではおなじみ、ドミトリー・リスとウラル・フィル。
 演奏はすばらしかったんです。たぶん。
 いや席が悪すぎてよくわからないのです。
 前から12列目だったのだが、それはいい。ほかのホールだったら。
 そこはだだっ広い国際フォーラムホールA。その舞台向かって右の一番端だった。それで前方なのが逆に仇となってバスが完全に背中向き。大編成交響曲を生で聴くことの醍醐味であるところの、骨まで響くような低音を感じることができず、全体の反響音もあまり届かず、ぼんやり舞台の方で音が鳴っている、といった程度。
 いちおうS席なのにそりゃないぜ。来年からホールAのS席設定の改正をお願いしたい。

 気を取り直して、次。公演番号115
 各種ディスクやら、テレビやら、最近ではハイレゾファイルやらで、様々な指揮者、楽団の演奏を飽きるほど聴いてきたベートーヴェン第9だが、恥ずかしながら生は初めてになる。
 席は18列目、舞台向かって左の真ん中寄り。すべての音がほぼダイレクトに届く。すばらしい。
 でだ。
 第3楽章にうっとりしながら第4楽章に突入して。
 まず最初のバリトンの第1声に、「あぁやっぱりプロはすげぇな」と。
 そして全体の合唱がどーんと入って。

 何年か前、マーラーの8番を生で聴いた時も思ったが、圧倒的な物量の前には圧倒されるがまま、もうひれ伏すしかない。

 不覚にも。
 泣いてしまったよ。
 この曲が世界中の人々に愛されている理由を、理屈ではなく、音を浴びて身体全体で理解することができた。
 毎年毎年、年末に全国で演奏されて、知らないひとからすればなんともバカらしいだろうが、これを一度体験してしまうと、そりゃくせになるさ。わたしも今年の年末はどこかもっとクラシックに適したホールの第9演奏会行こうかしら。

 ちなみに生で観て初めて気付いた、というか気にしたのだが、合唱の最後の最後、そこにソリストは参加せず、唄わないんだと。これはもしかしたら、“合唱団=民衆、一般市民の勝利”という、ベートーヴェンらしい暑苦しいまでの意味が込められているのではないかと、物量に圧倒されながら思ったり思わなかったり。

 最後に公演番号116
 ほぼ毎年のようにこの『ラ・フォル・ジュルネ』で『ボレロ』を聴いているので、今年は趣向を変えて、と思って。
 で、終了後は、止まらないスタンディングオベーションと繰り返されるアンコール。
 この盛り上がり方は、おそらく公式HPなどで“歴史に残る奇跡の名演”とか評されることになると思われる。

 が、ちょいと首をかしげてる人間もいるんですよ、ここに。
 わたしにとっての『ボレロ』の魅力は、定形のリズムとメロディをひたすら繰り返すなかで徐々に変化を生んでいく巧みなオーケストレーションと緊張感なんですね。
 そこに“次に何が起こるかわからない”というジャズによる別の緊張感が持ち込まれてしまった。それでスリルが相乗効果を生めばよかったのだが、残念なことにただバッティングするだけでこちらは曲に集中できず。
 さらには“同じメロディを繰り返す”というのも崩されてしまうと、ここにはもはや『ボレロ』の魅力はなくなってしまっているといっていい。

 いや、こういう手法は歓迎なんです。
 ただ『ボレロ』ではない、別の曲でやってほしかったと。

 そしてもうひとつ。それ以前の根本の問題も。
 指揮者も楽団も、小曽根さんもエリックさんも、やれることを精一杯やり、すばらしい演奏をしていたんだと思います。たぶん。
 すいません。曲終盤の、管弦楽側の大音量に負けて、小曽根さんのピアノがほとんど聴こえてなかったんですよ。

 企画倒れかなぁ――と思っているのがわたしだけだったとしたら、それはそれでみんな幸せだったのに水を差してしまって申し訳ありません。
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